OSAKA INTERNATIONAL ART 2025:取材レポート

「OSAKA INTERNATIONAL ART 2025」が、2025年5月31日、6月1日の2日間で開催される。大阪城ホールを舞台に、「大阪でアートを買おう」と銘打った、国際的で大規模なアートフェアで、およそ115ものギャラリーが参加している。特筆すべきはその4割弱が海外からの参加となっていること。アートを取り巻く環境の好循環を生み出すと共に、アートを通じて“文化”と“経済”の交流に繋げるイベントとして、今回が初めての開催となった。


会場の様子


普段なかなか観ることすらできない作品を、“買う”ことを念頭に楽しむことができる。マルク・シャガール、アンディ・ウォーホル、岡本太郎、草間彌生、コシノジュンコ…。言わずと知れたマスターピースに加え、海洋堂による「銅合金 シン・ウルトラマン」や、COOKIE(お笑い芸人 野生爆弾 くっきー!)による作品、日本が誇るバーチャルシンガーソフトウェア『初音ミク』による「ART OF MIKU」など、様々な文脈でのアート作品が立ち並んでいる。


マルク・シャガール / 画家と婚約者


「展示会ではありません」と、総合プロデューサーを務めた來住尚彦氏は語る。では、このイベントは一体全体何なのか。気持ちよく言い切ってしまうと、こういうことだと思う。

「商いの街、大阪の地で、アートを使って金儲け」

これが、簡略化した本イベントの姿かたちだと思う。素敵だなと思うのだが、おそらくこのように書くと、拒否反応、反感を持つ人が多いのだろう。

そして他でもない、一連のこうした感情の動きが、今の世相に示唆的であり、このアートフェアの提起する本質だろう。

例えば同時期に開催されている大阪万博は、博覧会であり、博覧会と検索をかけると、「種々の産物を陳列して公衆に見せ、販路拡張と改良進歩を目ざして開く会」とある。販路拡張の側面こそあれど、そこでは、あくまで“お披露目”という色が強く出ている。

対して、今回のOIAはアートフェアだ。フェアとは、市、即売会としての色が強く、さしずめ“お買い物”といったところだろうか。

ここで重要になるのが、では実際に自分が買うか、買えるか(お財布的に)ではなく、「アートを購入することが出来る“場所”の用意があります」という意思表示、機会の提供が成されたということだ。

ここには2つ、重要な意義がある。


「銅合金 シン・ウルトラマン」 / 原型制作:木下隆志

アートは美術館だけのものじゃない

もちろん、イベントのみならず、都内を筆頭に全国のあちこちには、店を構えた画廊やギャラリーが点在している。そこでは、アートを買うことができるし、在廊していれば、作家本人が、気さくに喋りかけてくれたりもする。恐らく訪れたことのない方のイメージを大きくかけ離れた、誰でも楽しめる場所が広がっている。そういった所に興味を持つきっかけとして、こうした大規模かつ国際的なアートフェアの可能性は大きい。マルセル・デュシャンを筆頭に、現代アートの文脈が明らかにしつつあるのは、「高尚なアート」の溶解だ。普段、お洒落な服を買うように、素敵な雑貨で部屋を飾るように、アートだって、買って所有して、楽しむことができる(普段の買い物と比べると、0が3つほど違うのには目を瞑るとして…)。お金を払えば手に入るもの、お金では買えないもの。後者としての印象が強いアートが、「買える」となると、その意味は、存外深い。このことは、アートが高尚なものだという固定観念を壊す一助になっていると言える。

アートというアカデミーを、エコノミーに

それにしても、アートに限らず、好きなことに、ちょっとお金を払わなさ過ぎやしないか。サブスクリプションの台頭は、確かに利便性こそ高めた。だが、月に1度、月額料金を支払えば作品が見放題、聴き放題というシステムでは、1作品ごとに、「お金を払っているんだ」という感覚を少しずつ、しかし確実に薄めている。1枚ずつCDを借りていた頃とは、そのありがたみは薄れ、お金を払うことがリスペクトである、ということが綺麗に忘れ去られている。その末路、問題が顕在化したのが、虚しくもSNSに溢れかえる、違法アップロードされた作品の数々だ。逮捕者が出るなど、大きな社会問題に発展している。『週刊少年ジャンプ』の発売日になると必ず、お気に入りの作品を立ち読みする人が現れるが、窃盗罪での逮捕者が出るのも、そう遠くない未来で十分あり得る話に思える。だが要点は、法を犯しているか否かではない。それって本当に「好き」なのだろうか?クエスチョンマークがぐるぐると、虚しく回り続けている。


COOKIE / Ticty


そして、イベントを翌日に控えた前日囲み取材では、総合プロデューサーである來住尚彦と並んで、コシノジュンコが登壇した。

コシノジュンコは次のように語る。

大阪万博と同時期に開催できるという、タイミングがすごく良かったなと思います。世界からたくさんの作品が大阪に集まるということは、 芸術家もまたここ大阪に集まるということ。この街がアートに触れる機会を深める第一歩だと思います。

これまでも彼女が述べてきたのは、人と話したり、連帯することの重要性。

大阪万博と同時期に開催することにより、より大きなアートの流れを、大阪の地で巻き起こそうとしている。その時に忘れてならないのは、僕の誤読でないならば、OIAが提起した、アートは買える、身近な楽しみの一つであるということ。そして、お金を払うことはリスペクトであり、素敵なことだということ。もっと言うと、これを素敵なものという認識から、当たり前のことであるというレベルにまで押し下げていく。そうした連帯が求められている、そんな気がしてならない。



OSAKA INTERNATIONAL ART は下記会期で開催中。

EDIT: Ryo Kobayashi

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