美術館巡りの隠れコマンドを有効活用。
国立博物館に自己収入増を促すため初の数値目標を文化庁が定め、これを達成できなければ再編の対象とする。そんなニュースが物議を醸し話題だったこの頃。「入館料」「グッズ」などから収益を得るこうした施設の運営の難しさ、支援の難しさが露わになる一方で、いち鑑賞者としては、日頃から寄付したり、行ける場所には行っておいたりするのも大事だ。とはいえ、どんな面白い企画や場所があるのか、ひとつずつ調べるのも大変だし、ちょっとお得に美術館や博物館を巡りたい。そこで「ぐるっとパス」を有効活用するのはいかがだろう。
RPGゲームに隠れコマンドや裏技があるように、美術館・博物館巡りにも裏技がある。この「ぐるっとパス」は、東京を中心とする100以上の美術館・博物館等の入場券や割引券がセットになったお得なQRコードチケット。端的にいえば、2,500円で107施設(2026年版)を巡れるのだ。対象施設の販売窓口やオンラインにて、毎年春〜翌年1月まで発売され(2026年版は4月1日より発売)、QRコード受付なのでスムーズに入場もできるスグレモノ。オンラインチケットはメールで届くので、スマホを携帯しておくだけで、美術館・博物館への探訪は悠々自適だ。運営する公益財団法人「東京都歴史文化財団」の公式サイトでは「ぐるっとパス」で入場できるおすすめの展覧会を紹介中なのでこちらをチェックしておこう。で、本稿ではそんなスペシャルなパスから、BAMイチオシの美術館・博物館をご紹介。
リニューアルした名博物館で開催される“直球の”大展覧会。
「ぐるっとパス2026」に再参加する「東京都江戸東京博物館」。“再参加”というのも、この約4年間、大規模改修工事のため休館していたからだ。高床式の倉をイメージしたユニークな建物が目印で、両国の名所のひとつでもあるこの博物館。1993年に開館し、江戸東京の歴史と文化を振り返り、商業・出版・町民の暮らしなどなど、模型や重厚な資料「江戸」の世界に入っていくように没入できる館の作りが魅力だ。
3月31日のリニューアルオープンも待ち切れないが、ぜひ4月25日(土)より開催の展覧会に注目だ。その名も「大江戸礼賛」。江戸に暮らした武士や町人たちは、この地の何を誇り、自慢としたのか。武家の道具、相撲・歌舞伎・吉原の賑わい、流行を生んだ出版文化、頻発する火災に立ち向かった火消、趣味や学問を介した文化人たちの交遊などなど、「江戸東京博物館」の選りすぐりの逸品と初出品資料を軸に、人口100万を擁する大都市「大江戸」の魅力を紐解く直球の展覧会だ。東京での都市生活を考える上で、新たな視座を与えてくれそうである。
庭を楽しむのも一興。
「ぐるっとパス」で巡れるスポットには、「国立西洋美術館」や「国立科学博物館」、「三井記念美術館」、「東京オペラシティ アートギャラリー」、「森美術館」などなど、都内の様々なエリアにて、一度は聞いたことのある美術館&博物館&ギャラリーの名前がずらり。アートスポット巡りといっても、美術館や博物館だけではない。「浜離宮恩賜庭園」や「東京都庭園美術館」「神代植物公園」「旧古河庭園」など、“庭”を楽しめるのも嬉しいポイント。

例えば国の特別名勝に指定されている「六義園」。ここは1695年から7年の歳月をかけて造られた江戸を代表する回遊式築山泉水庭園が堪能できる場所。これは、大きな池を中心に配して、その周囲に園路、築山、池中の小島、橋、名石など各地の景勝などを再現したものだ。繊細で温和な日本庭園には、春はツツジやソメイヨシノ、夏は紫陽花、秋はイチョウ、モミジ、冬はウメ、ツバキなど、ちょっとした日常のリフレッシュにも素晴らしい。「吹上茶屋」で抹茶を嗜むのもツウだ。ちなみに、読み方は「ろくぎえん」ではなく「りくぎえん」なので、人をお誘いする際はご注意を。
ちなみに3月中旬には「春夜の六義園夜間特別観賞」と題してお花見時期のライトアップイベントを開催。主景観のひとつである「中の島」や、「吟花亭跡」、「水香江」などの 各スポットをはじめ、六義園のシンボルである「しだれ桜」をライトアップする。見応え抜群のこちらの詳細は公式サイトを要チェックだ。

「そごう美術館」や「帆船日本丸/横浜みなと博物館」「千葉市美術館」「埼玉県立近代美術館」など、都内以外の場所へも訪れることができる「ぐるっとパス2026」。普段は行かない場所であっても、「パスを持っているから行ってみよう」と考えるきっかけになることもあるはず。美術館・博物館・動物園・水族園・植物園・庭園(107施設)への入場券であるだけでなく、文化への接点の入り口としてぜひとも手にしてみてほしい。2026年版の発売は4月1日から、詳細はこちらの公式サイトを確認していただくのがいいだろう。日常の延長にこそ、アートはある。


