【インタビュー】変換されていく景色ーYosca Maedaがピクセルアートで描く永遠と対話の世界-後編

行ったことがないはずの景色でも、どこか懐かしいと感じる。そんなピクセルアートを手がけるYosca Maeda。前編では制作のこと、名前に込められた思いなどを伺った。

デジタル画面で、いつでもどこからでもアクセスすることのできる作品から始まったYoscaMaedaの作品だが、2022年より毎年行っている個展では、よりインタラクティブなコミュニケーションを促す作品も制作しているという。

様々な表現にチャレンジすることで広がる可能性

個展では見せ方を工夫した作品も多く制作されていますよね。

Yosca Maeda:はい。今までに3回個展をさせていただいたのですが、毎回異なった表現にチャレンジしています。ピクセルアートというデジタルの作品を、リアルな空間で味わう時に何ができるんだろう?という問いを毎回考えるようにしていて。楽しみ方にはどんなバリエーションがあるかを探っています。デジタル作品の展示方法には、ある意味正解がないと思います。デジタル作品って、そこに存在して目で見ることはできるけれど決して触れることはできない。なので個展では作品により能動的に関わってもらえるようなシステムを試したいと思っています。

インタラクティブ性のある作品を展開した2024年の個展の様子。馬喰町NEORT++にて

例えば2024年の個展では、作品のモニターをカスタムしてダイアルをつけました。鑑賞者がそのダイアルを回すと、画面のピクセルが少しずつ変化していきます。最初は抽象的な形だったものが、次第に何かの景色に見えてくる。解像度の変化を通して、記憶が少しずつ輪郭を持ったり、また曖昧に戻っていったりする内的な感覚を表現しました。また、詩の断片の展示などもあわせておこないました。絵を描いてる時には気づかないけれど、後から見た時に音楽活動をしていた時に歌っていた言葉と重なる部分があったりするんです。時間によって文字が切り替わるようになっていて、この言葉とこの絵って実はつながっているな、という気づきもありました。

インタビューを通してYosca Maedaさんの言葉の選び方にとても魅力を感じていました。今までに影響を受けたものはありますか?

Yosca Maeda:生き方という点において岡本太郎さんは昔から好きなアーティストです。実家が岡本太郎美術館の近くにあったので、今でも年間パスポートを毎年買っていて、定期的に足を運びます。音楽だけの表現にこだわらず、ピクセルアートのキャリアをはじめることができたのも、様々なことにアグレッシブに挑戦し続ける岡本太郎さんの影響かもしれません。

未来のデジタルアートとは?

さまざまな表現者にとってAIやデジタル技術の進歩が大きな影響を与えています。そのような技術とどう向き合っていますか?

Yosca Maeda:デジタル技術と共にある表現者として、さまざまな新しい技術に対して興味はあります。ただ作品を制作している中で特に大切にしているのは過程です。AIによる生成は短時間で完成するという強みがある反面、作られる動機や過程が乏しい印象があります。過程にこそアーティストや作品が存在する理由があると思います。どんなに技術が発達しても、なぜその作品を作ったか、どれだけ時間をかけて向き合ってきたか、といった要素が味わいを生み、人と人が対話するために作品は存在しているはずです。

きっとこれから、デジタルのクオリティはもっと上がっていくと思うし、色々なことが更に便利になっていくでしょう。それでも作品の中にそれぞれの成長や結果、ストーリーを宿して欲しいなと思っています。

Light in Passing

Yosca Maedaさんは未来のデジタルアートをどのように考えますか?

Yosca Maeda:混沌とした世界になるんですかね。今でもすでに問題にはなっていますが、これは人が作った、これはAIが作った、などもその一つですよね。さらに色々なものが現れるとある地点で「では結局、本当にいいものってなんだろう?」と思う気がするんです。大量生産の一方で手づくりのものに魅力を感じる人がいるように、やっぱりそこに人がいて、どういう思いでどう作ったのか、作られたものは何であるか、みたいなコミュニケーションが大事なんじゃないかと思うんですよ。作り手と受け手が人である限り、その流れが崩れることはないと思うので。自分がやりたいことをもっと深く突き詰めていく、そんないい時代になる気もしています。

教員時代のご縁で、小学生向けのワークショップをしたことがあります。子どもたちには取り組みやすいサイズのキャンバスを使ってピクセルアートのアニメーションを作ってもらったのですが、その姿を見て、自分で作ることをとにかく楽しむ!みたいにシンプルに夢中になる感情も大事にしたいと思いました。

ーーー進む技術に対して目先の結果には惑わされたくない、と語っていたのが印象的だったYosca Maeda。しなやかさと力強さのある眼差しで見つめる、これからの未来を楽しみながら歩んでいきたい。

EDIT: Ryo Hamada

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