今週読みたいアート。入門書編vol.1

美術館に行き、「なんでこれが良い(とされている)のだろう」とか、「これにどんな価値があるんだろう」とか、アートについて「よく分からない」なんて気持ちが芽生えたまま帰宅する……なんてことがあるかもしれない。

よく分からない作品にウン十億円という値段がついたかと思えば、街中の無料で入れるギャラリーで素敵な作品と出会ったり、はたまた、作品の枠組みを超えた「プロジェクト」なんかが作品と呼ばれていたり。歴史や理論が背後にあるからこそ、様々なアーティストや作品があるわけで、感覚だけで理解できるのがアートの世界ではないし、何かの手がかりがないと中々理解できないことも多い。というわけでこの連載では毎週「アート」にまつわる書籍をいくつかご紹介。

4月は出会いの季節…。今一度、アートの世界と出会ってみよう。ということで今月フォーカスするのは「入門書」。今回はあえて新刊本ではなく、既に発売されており価格もお手頃で、手に入りやすいものから選んでみました。勉強…とまでは言わないけれど、読んでおけば、作品と出会ったときの体験にもさらに深みがでてくるはず。

◯ 美術の物語/エルンスト・H・ゴンブリッチ・著(河出書房新社)

「今週読みたい」と銘打っておいてなんだが、こちらの本は一生もの。美術の歴史を知りたければ、とにもかくにも、これを読んでおけば間違いない教科書的一冊だ。本書の1番の凄味は、一貫して優しい言葉で記されている点。なにかと専門用語の多い美術の世界でも、とにかく分かりやすく、図説を配置しながら、スタートとなる「ラスコーの洞窟壁画」から現代アートに至るまでの膨大&壮大な美術の世界へ読みやすく展開する。主に西洋にフォーカスしているが、社会的、歴史的な背景とともに、理解が進むはず。昨年10月には河出書房よりポケット版(内容同じく新書に近いサイズ)が発売されている。お値段もお手頃なので一家に一冊ほしいところ。「ポケポケ」も話題だけどこちらの「ポケット」もお忘れなきよう。

◯20世紀美術/高階秀爾・著(ちくま学芸文庫)

昨年逝去された高階秀爾氏による一冊。高階氏は日本を代表する美術史家・美術評論家だ。2000年まで国立西洋美術館長を務め、『名画を見る眼』や『近代絵画史』など著書に代表作も多く、多くの美術学徒たちにとっての心の先生的存在ではなかろうか。とにかく平易な言葉を用いて美術のコンテクストを説明してくれるありがたい存在。なかでも本書は文庫なので手に入りやすい点と、「難解」なイメージのある「現代美術」がはじまった20世紀にフォーカスしている点からおすすめ。いわゆる美術史をおおまかにつかんだら、この一冊を手に取ってみよう。モネら印象派の登場の後、戦争の時代を挟み、どのようにして今日の現代アートへと至るのか、コンパクトにストーリーを追っていける。図版多数なのも親切設計だ。

EDIT: Ryoma Uchida

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