いつか来るディストピアはこんな景色だろうか。2000年生まれの25歳、Cream Ecoes(クリームエコーズ)の作品は彼の穏やかな雰囲気とは相反するかのように、この混沌とした世の中を映し出しているかのようだ。
Cream Ecoes 唯一無二の色彩
東京をベースに活動を続けているCream Ecoes。三年前にバンド活動を経てアーティスト・イラストレーターに転向。独特のカラーリングやモチーフが話題を呼び、日本全国から台湾までも個展を開催している。作風や名前も謎に包まれたCream Ecoesに制作のこと、好きなこと、最近興味がある都市伝説のことまでインタビューを行ったーーー。
今日はよろしくお願いします。前回は六本木のCOMMONというカフェ&バーで行われたZINEフェアでお会いしましたね。
Cream Ecoes – よろしくお願いします。ZINEが好きなので遊びに行きました。実は過去に一度ZINEを作ったことがあります。あまり言語化が得意ではないのですが、ZINEは自分の世界観を存分に表すことができるので、これからも作っていきたいと思っています。
初めてCream Echoesさんの作品をみた時から、「色」が印象的でした。配色はどのように決めているんですか?
C – どんな風に決めてるんだろう…。ただ色はすごく大切にしていて。今まで発見した変わった配色のものを参考にしたり、組み合わせてみて面白い組み合わせなどを使うようにしています。最近は作品の配色が派手になったような気がしていて。今まで使わなかったピンク色なども作品に取り入れることが多くなりました。
作品との付き合い方がより軽やかに、自由になったような感じですか?
C – 確かに、日頃から作品へのしがらみや制約から解き放たれたい!と思っています(笑)最近ヨーロッパに行く機会があって、旅行中は普段あまりしない散歩をして、街の様子や歩いている人々の姿を記憶に留めています。
誰も見たことがない景色を作品に
幼い頃にみた景色やもので印象的なものはありますか?
C – 地元が宮城県で子供の時によくスノーボードをしていたんですが、地元のスポーツ用品店で売っていた「kissmark」というブランドのウェアをよく着ていました。他にはないビビッドな配色のアイテムが多くて、少なからず影響を受けているような気がしています。
影響を受けたアーティストはいますか?
C – 実はアーティストに全然詳しくなくて。元々学生時代からバンド活動をしていたので大瀧詠一さんのジャケットを手掛けていた永井博さんのことだけ知っていました。今でも好きなアーティストの一人です。バンドはもういいかな、と思っていた2022年から絵の制作をはじめました。それから様々なアーティストの作品に触れることによって自身の作風ができていったように思います。
色の境界や、この世のどこでもないアノニマスな風景を描いているという点でも似た雰囲気を感じます。
C – 人が見たことがないモチーフを入れることもあって、グニャグニャ・ギザギザ・トゲトゲといった質感のものを組み合わせて不思議な風景を作り出しています。
デジタルとアナログの融合が織りなすCream Ecoesの世界
制作について聞かせてください。普段はアトリエとしても使われているご自宅での作業が多いですか?
C – はい。あとは友人と共同で借りている事務所や近所のドトールでも作業することもあります。ノートパソコン一台で完結するので実はどこででも作業ができちゃうんです。
それは驚きでした!
C – PhotoshopやIllustratorを使用して制作することが多いです。ほとんどをトラックパッドの描画機能で線を描くことも多いのですが、細かい部分や余白を持たせたいところなどはボールペンでかいた素材を出力することもあります。油画などの手描きの絵にずっと憧れがあるので、今まで何度か試したのですが、しっくりくるものが作れず。いつかはそういった作品にもトライしてみたいと思っています。
一枚の作品を完成させるのにどのくらい時間をかけていますか?
C – 本当にまちまちなんですが、早い時だと2~3時間で下絵が完成することもあります。展示が近い時は毎日パソコンの前で制作をしていますが、なんとなく1週間のうちの平日はCream Echoesとして活動し、残りは別の作業や休日にしています。ただ日常の中でアイデアや図版が思いつくこともしばしばです。
2025年8月15日からは、台湾での個展「In my head?(or) In your head?」が開催されますよね。
C – 台湾では2025年2月に一度個展をさせていただいたことがあって。その時に知り合ったギャラリストさんが今回の個展をセッティングしてくれました。InstagramのDMでメッセージが来たことがきっかけで、在廊で初めての台湾訪問でした。自分が帰国した後も多くの方が来場してくださったようで、安心しました。今回の展示では飲食もできる台北のアートスペースでの展示で、新作4点に加えて、5月に開催した宮城県での個展からも3点追加した計16点を展示する予定です。
後編ではCream Ecoesのパーソナルな部分に焦点を当てて深掘りしていきます。後編もお楽しみに。