ジョン・カフカ:意外なる文化的ルーツと、イラストの魅力に迫る。【後編】

豊かな色彩感覚と独特な構図、繊細なタッチが織りなす唯一無二の世界観。現代的なイラストレーションの美しさを更新し続ける韓国のアーティスト、ジョン・カフカ。特別インタビューの前編ではミステリアスなイメージとは裏腹に、日本のカルチャーにも造詣深く、お気に入りのブランドや映画など意外な一面も垣間見た。そんな彼の、アーティストとしての日常や創作哲学、これからの展望など、気になることを根掘り葉掘り伺ってみたインタビュー記事の後編です。

「自分の絵が好きな人をがっかりさせたくない」

B – 普段はどんな場所で制作していますか。また、制作の際に大事にしていることはありますか。

John Kafka – 普段は自宅で、iPadで制作をします。でもカフェでやるときもあるし、友達の家に遊びに行ったときにも制作することもあるので、場所を選ばないですね。作品は週に3〜4枚。多いときには週に7枚描くときもありました。 ファンの方と交流し続けたいから、絵をたくさんアップする方だと思います。コツコツと、定期的にたくさん制作することを大事にしています。あとはクラシックなどの音楽があるとより良い仕事ができる気がしています。

普段の制作の様子

B – 休日はどんなことをして過ごしていますか?

John Kafka – 本や映画が好きなので(詳しくは前編に)、散歩しながら映画館や本屋でインスピレーションを得ます。あとは、休みを作って人と会う約束をして話をするようにしています。同じ活動をしている仲間の作家さんが多くなり、自分が知らなかった習慣や見習うべき点を吸収しています。

韓国のお気に入りのお店【Sushi Ki】での写真

B – かなりストイックに制作して仕事に取り組んでいる印象です…! 原動力になっているのは何でしょうか。

John Kafka – やはり読者、鑑賞者ですね。昔は承認欲求から制作に取り組むことも多々あったのですが、そこはもうだいぶ捨てた状態だと思います。今は好きなものを描いて、好きになってもらうことが嬉しいという気持ちが大きいです。自分の絵が好きな人をがっかりさせたくないですね。

B – 取り組む作品で目指したい世界観などはありますか。

John Kafka – 一つのコンセプトで連作をするのが好きなんです。今は宗教的なコンセプトを立てて制作を進行中です。自分の良さをどう表現するか、どう説明するかをより重視していきたいなと思ってもいます。実は、日記的に日常の気分を絵に描いたことがあるのですが、後で歳をとった時に昔の作品を見ながら過去を振り返ることができたら面白いなと思って制作しています。

B – では、そうした作品を目指し制作する上で、心がけていることはありますか?

John Kafka – 好きな人、尊敬するアーティストの影響を受けながらも、あまり影響を受けすぎて似たり寄ったりになりすぎないようにしようと心がけています。ミュージックビデオなどを見て影響を受けることもあるけど、とにかく自分の好きなように表現しようという努力を怠らないようにしています。

ジョン・カフカの目指す未来。

B – 今年(2025年)から、今後挑戦していきたいことなどはありますか。また、今後GAAATと新しい挑戦や共同でやってみたいことなどありますか?

John Kafka – 絵も描き続けますが、短編小説も書きたいです。 絵画家と文章作家を両立させてみたいなと考えています。GAAATさんとは最近のホテルの展示(ザ・スクエアホテル銀座での個展『DECO』)が3月31日まで開催中です。衣料品&アクセサリーコラボの広い範囲の展示になっていて、絵ももちろんあるのですが、実際に衣装を制作して展示しています。コンセプト的なものを絵以外にもっと広げて、見所をたくさん増やして、展示場を絵のコンセプトの世界観で彩れるように目指したいです。

DECO

B – ジョンさんのアーティストとしての夢はありますか。

John Kafka – そうですね。昔思っていたレベルでの夢は叶ったけれど、最終的には絵やメッセージをより多くの人に見てもらいたいですね。自分の夢が誰かの夢になること。誰かに影響を与えられる人になることです。

B – ありがとうございます。最後に、進行中のプロジェクトや、告知したいことなどあれば教えてください。

John Kafka – 韓国ではポップアップストア(日本でも開催計画中)、日本では展示活動と画集が出版されていますので、ぜひチェックをお願いいたします。絵を描いている理由は読者の方がいてこそ、見てくれるだけで嬉しいんです。今日は色々お話を聞いていただきましたが、やはり絵を描く人間として、絵でメッセージを伝え、話をしなければならないとも思っています。これからも頑張りますので、よろしくお願いいたします。本日はありがとうございました!

EDIT: Ryoma Uchida