幼い頃から描いていた絵と、学生時代に右も左も分からないまま上がった芸人の舞台。その2つが交わった時。そしてそこに、少しの隠し味が加わった時____。
お笑い芸人、漫画家、イラストレーターなど、多方面に活躍するおほしんたろうの現在のスタイルに至るまでの軌跡、その創作の背景を紐解くインタビューを前後編でお届けします。
お笑いとイラストが混じり合う
学生時代のお笑いのネタではオーソドックスなコントなどをやっていたとのことでしたが、イラストや1コマ漫画がネタに登場するようになったのはいつ頃ですか?
おほしんたろう(以下:おほ) – それはもう事務所に入ってからですね。“芸人”になってからです。 それこそ twitter(現X)とかに漫画をあげたら割と反応がよくて。だったらこういうことやった方がいいのかなと思って、フリップネタとかをやるようになりました。

元から絵も描いてたし。
おほ – そうですね。もちろん「フリップネタ」という存在は知っていたんですけど、なぜかそれをやるっていう発想がなくて。
ちょっと不思議ですね。
おほ – ですよね。「やりゃいいやん」 って思うと思うんですけど、こういうのって客観的に見れないというか、意外と本人からしたら分からないじゃないですか。
たしかにそういうのはありますね!
描き過̇ぎ̇な̇い̇という隠し味
1コマ漫画を作る時はどんなイメージで作っていますか?
おほ – 大喜利のお題と答えを自分で用意して出すイメージです。イラストと文字を入れて、イラストで回答するような、自己完結の大喜利です。先に大喜利のお題を考えて、その答えとしてイラストを描くので、いいお題が思いつくと割とスラスラ描けます。
以前別のインタビューで、「半分ぼーっとしながら、半分考えている」状態の時にネタが思い浮かぶとおっしゃってましたが、それは今もそうですか?
おほ – 基本的にはもう「描くぞ!」と思って、そこから考えています。ぼんやりしてる時にたまたま浮かぶこともあるんですけど、 それはラッキー。 やっぱり「考えるぞ!」ってやらないと、なかなか思い浮かばないですね。全然面白いことが浮かばないなみたいな時は、何個か描いて、 うーん、みたいな時間は結構あります。でも、何個か描いてたらノってきたりします。


何か特別に意識してることはありますか?
おほ – 憧れの和田ラジヲさんが、「 絵は描きすぎると上手くなっちゃうんだよ」って言ってて。特にああいった感じのギャグって、絵が上手すぎてもなんか違って、一番いいバランスがあると思うんです。ただ、例えば、いい具合に死んだ目の人を描きたいけど、そういう時ってやっぱりどうしても和田ラジヲさんの絵に寄っていってしまう。それも違うので、自分なりの絵柄で描けるように何とか調整する感じです。
「お笑いとか漫画とかやってますけど、いかがお過ごしですか?」
そのほかに憧れている人はいますか?
おほ – お笑いやりながら絵とかもやっているっていう意味だと、くっきー!さんとか、天竺鼠の川原さんとかは、ネタも面白いし、絵の方も好きです。すごいなって思います。あとは『サラリーマン山崎シゲル』っていう漫画の田中光さんも好きですね。この人もお笑い芸人であり、漫画家でもあるっていう方で。
例えば今挙げられた方とネタが被らないように気をつけていることとかはありますか?
おほ – 自分が面白いと思うかどうかが最初の基準です。その上で、「これはやられてるかな?これはあんまりやってないかな」っていう、そこの見極めだけですね。あくまで考えた上で、被っているかどうかを判断しています。
それこそいろいろな活動をされていますが、ご自身の中で肩書きは何だと思いますか?
おほ – 例えばテレビに出るとして、「ザ・お笑い」みたいな仕事ってあんまりなくて。僕の場合は、早朝の情報番組で芸能ニュースを読み上げる、とか、地元の佐賀の情報番組で天気を読むっていう仕事とか、まあ要所要所にちょっと小ボケを入れたりはしますけど、ベースの中での「お笑い」っていう仕事でもなくって。あんまりこう、「芸人です!」っていうのが若干、「それ言っていいのか?」みたいな感じには思ってるので、「お笑いとか漫画とかをやってます」みたいにふわっとさせることが多いです。「漫画家です。」も、ちょっと言い過ぎかなとか思うんで。「お笑いとか漫画とかやってますけど、いかがお過ごしですか?」みたいな 感じで生きてます(笑)。
Instagramでの1コマ漫画などすごく話題になっていますが、知名度が上がるにつれて、もしかすると、しがらみとか、例えば受け手の反応がネタに影響したりすることはありますか?これがウケそうだな、とか。
おほ – あー、いや。やっぱり出してみるまでは全然わからないですね。
そういうものなんですね。
おほ – 自分的に、「あ、これ面白いぞ」と思っても、蓋開けてみたら全然伸びないことも多いですし。分かりやすいネタの方が反応多いかな?くらいはありますけど、でもやっぱり どれが評判いいかとかは全くわからない。出してみて毎回、「 へー!?」みたいな感じです。
反応とかはやっぱり気になるものですか?
おほ – そうですね。やっぱり「いいね」がたくさんつくと嬉しいですよね。ただそこがネタづくりにおいて、自分の中のテンションと一致するか?って言ったら全然そんなことはないです。
1コマ漫画だとかなりの制約があると思いますが、1コマで落としきるコツや意識していることはありますか?
おほ – そうですね…。 落ちてないやつも好きなんで、それがややこしいんですよ。ちゃんと落ちてるやつも勿論いいんですけど、 やっぱり『ファミ通』の時代から、「なんだ。これ?」みたいな、よくわかんないやつが好きっていうのがずっとあるので。なので、落とすコツっていうとわかんないですけど、落ちなくてもいいかなとは思っています。
なるほど。なんか空気感というか、余白が残る感じの。
おほ – そうですね。受け手側に突っ込んでもらうくらいの。ただ、やっぱり落ちてるやつの方がウケはいいですよ(笑)。
あ、それはやっぱそうなんですね。
おほ – そうですね。やっぱりちゃんと落ちてるんで。そりゃそうだなっていう。

