今週読みたいアート。アートな雑誌 Vol.2

美術館に行き、「なんでこれが良い(とされている)のだろう」とか、「これにどんな価値があるんだろう」とか、アートについて「よく分からない」なんて気持ちが芽生えたまま帰宅する……なんてことがあるかもしれない。

よく分からない作品にウン十億円という値段がついたかと思えば、街中の無料で入れるギャラリーで素敵な作品と出会ったり、はたまた、作品の枠組みを超えた「プロジェクト」なんかが作品と呼ばれていたり。歴史や理論が背後にあるからこそ、様々なアーティストや作品があるわけで、感覚だけで理解できるのがアートの世界ではないし、何かの手がかりがないと中々理解できないことも多い。というわけでこの連載では毎週「アート」にまつわる書籍をいくつかご紹介。

ちょーっと右肩下がりな出版業界において、「MEN’S CLUB」「美人百花」などなど、続々とレジェンド雑誌が廃刊していく。隆盛を極めた“夢を届ける”メディアはかつての勢いは陰る。しかしながら雑誌にしか表現し得ない世界ってものがあるのだ。ということで、前編に続き後編では、「アート」に触れられる雑誌にフォーカス。パラパラっとめくってみて、まだ見ぬ世界や華麗なクリエイティブにワクワクしてみては。

◯『Epoch review』Francesca Gavin、Leonard Vernhet・編(Epoch review)

フランス発のこのインディペンデント・マガジンは「現在と過去を対話させる」ことを目的として不定期刊行中。クリエイティブディレクターとして誌面を作成するのは、Leonard Vernhetだ。〈シャネル〉や〈シュプリーム〉や〈エルメス〉とのコラボレーション、〈オフィシーヌ・ユニヴェルセル・ビュリー〉の創業者・ラムダン・トゥアミとの山岳をテーマにした雑誌『USELESS FIGHTERS』でも活躍する、第一線のアート・ディレクターだ。そんな彼が力を入れるこの本は、人類学からファッション、科学から芸術、考古学から音楽まで、様々な分野の融合を行っている。アーティスト、思想家、歴史家、人類学者など、多くの職種の人々が参加し、扱うテーマも「メタモルフォーゼ」「予言」など抽象的かつ多岐にわたる。広げまくった風呂敷をちゃーんと回収する誌面には圧倒されるし、時代の先端をいく刺激的なクリエイティブに出合ってみてほしい。

◯『Provoke 』多木浩二、中平卓馬、高梨豊、岡田隆彦、森山大道・編(二手舎)

雑誌、とひとくちにいってもZINEや同人誌まで含めるとどれほどの数がこの世にはあるだろう。そんな中でも、“伝説の雑誌”は刊行後もいつまでも語り継がれるものだ。こちら、美術評論家の多木浩二と写真家の中平卓馬によって発案され、詩人の岡田隆彦と写真家の高梨豊が加わり創刊された同人誌。1968年の刊行後、たったの3刊しか続かなかったにもかかわらず、その影響力は絶大。「思想のための挑発的資料」として書かれた内容はもちろん、デザイン面でも、先日予告されたフランク・オーシャンのニューアルバムのジャケットが、この「Provoke」を参照しているとも話題だった。復刊プロジェクトもすすみ、手に入りやすい今こそ、ぜひ読んでみて。

EDIT: Ryoma Uchida

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