福岡アートブックフェア「Pages」に行ってきた!〜前編〜

福岡アートブックフェアとは

福岡アートブックフェア「Pages」は今年で2回目を迎える。なぜ福岡?と思われる方も多いかもしれないが、筆者が期間限定で福岡に住んでいるからだ。福岡にはこれまでアートブックを中心にしたブックフェアが存在しておらず、2024年に初めてのアートブックフェア(通称FABF)が開催された。

発起人は福岡カルチャーの中で欠かせない存在の「本屋青旗」の店主でもある川﨑雄平さんだ。本屋青旗は国内外のあらゆるアートブックや雑誌、写真集などを取り扱う店で、定期的にアーティストの個展やイベントを開催している。

そんな川﨑さんを中心に東京アートブックフェア(TABF)のディレクターらが協力しあって開催したのが福岡アートブックフェアなのである!

太宰府天満宮の気持ちのいい日差しの中開催された

2025年4月18日から4月20日までの三日間、太宰府天満宮にて開催され、筆者は初めて参加したのだが太宰府天満宮という場所柄からか、子どもから大人・お年寄りまで多くの方々が来場しており、東京アートブックフェアよりも幅広い人たちにアクセスしているのが印象的だった。

大きく、個人やグループなどで参加しているブースが集まっている余香殿(よかでん)と、海外の出版社や国内のアートブック系の本屋・出版社などが出展している文書館(ぶんしょかん)、飲食店や花屋などが集まる屋外のYummy Areaの三箇所に分かれており、太宰府天満宮の中を散歩するようにアートブックフェアを楽しむことができるのも魅力的だ。

また、会期に合わせて様々なイベントやトークセッション・ワークショップが行われており、毎日行っても楽しめるようなアートブックフェアになっている。

それでは、特に印象に残ったブースを紹介していこう!

Ghi-Cha 汽車

お隣の国、韓国から参加している女性四人組のアーティストコレクティブ。そういえば福岡という場所柄か、韓国からの出展者や参加者が多いことも印象的だった。東京より近いし。このGhi-Chaも1回目の開催に引き続き2回目の参加だという。グループ名のGhi-Chaは、本を開き、読み、見るという行為が、汽車に乗り、目的地に到着する旅路に似ているという点から名付けられた。

Ghi-Chaのブース。色とりどりの本が並ぶ。

メンバーの1人であるド・ユナさんがディレクション・編集している「TRANSLATED BOOKMARKS」を購入した。本業はグラフィックデザイナーだというユナさん。本の装丁やデザインもクラフト感があってかわいい。かわいい包みとはウラハラに韓国語と日本語のバイリンガルブックとなっており(ありがたい…!)内容もしっかりと読み応えのある本になっている。ユナさんの友人を中心に匿名の八人を対象にした、メディアやコンテンツとの関わり方をとらえたインタビュー形式の本になっていて、日本のアニメや韓ドラなども多く登場してきて、するする読めてしまう。(翻訳もユナさんがしたらしい!)会社員をしている人からアーティストまで幅広いカテゴリーの友人たちにインタビューしており、コンテンツを作っている人たちにぜひ読んでもらいたい一冊だ。

「b/o/o/k/e/u/b/o/o/k/e/u」のブックスワップ

韓国からの出展者で面白い取り組みをしている方々がもう1組。

「b/o/o/k/e/u/b/o/o/k/e/u」(ブクブク)はソウルを拠点に活動している移動式ライブラリープロジェクト(?!)だ。なんのこっちゃ。ソウルでは様々な場所にゲリラ的に出没し、本の交換会を行ったり、自分たちが制作したZINEなどを販売しているという。アートスペースや公園などでの開催を経て、福岡アートブックフェアに出展していた。福岡では、事前に彼らのインスタグラム上で募った希望者から本を送付してもらい、福岡へ。そして福岡の会場で並べられた本たちと日本の参加者が持ち寄った本を交換し、交換が成立した提供者にそのまま送付するという。

b/o/o/k/e/u/b/o/o/k/e/uのイベントを通じて、全く見ず知らずの2人がつながるというロマンティックな仕組みだ。

ブックスワップは日本ではあまり馴染みがないが、海外のアートブックフェアなどで盛んに行われており、交換によって経済を動かしていく面白い取り組みの一つだ。アーティストや作家などが、自分たちの作った本やZINEを宣伝する目的に使うことも。思わぬところでバイブスの合う作家に出くわしたり、欲しかった本をちょっぴりおまけして手に入れることができたりもする。

実際福岡アートブックフェアに行って思ったことは、時間の流れがゆったりしているということだ。東京アートブックフェアでは味わうことができない参加者たちの“交流の場”を作り、その中の化学反応を楽しんでほしい、とディレクターの東直子さん(TABFのプロジェクトマネージャーでもある!)も語っている*1。作家や本の作り手からじっくりと本の説明を受けたり、ゆったりご飯を楽しんだり、畳の部屋でごろごろくつろいだり(?)参加者それぞれに楽しみ方が用意されている福岡アートブックフェア。後編ではブース紹介の続きと、Yummy Areaのレポートも!ぜひ続けて読んでみてほしい。

*1:https://2024.fukuokaartbookfair.com/interviews/2421/ より引用

EDIT: Ryo Hamada

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