前編に引き続き、福岡アートブックフェア「Pages」について取り上げる。
主に3つのエリアに分かれて会場が配置される福岡アートブックフェア。メインブースである「余香殿(よかでん)」と「文書館(ぶんしょかん)」、飲食店のポップアップが集まる屋外の「Yummy Area」とそれぞれで雰囲気の異なる出展者が名を連ねており、会場の太宰府天満宮を散歩するようにアートブックフェアを楽しむことができる。
Yummy Areaで腹ごしらえ!
さて、ブースをぐるりと回ってちょっとお腹が減ってきたら、「Yummy Area」で腹ごしらえ。福岡をはじめとする九州地方の飲食店やフードトラックなどを中心に様々な飲食店が出店しており、お腹いっぱいでも立ち寄りたくなる。
福岡県福津市に拠点を持つ「南部食堂」では、手軽に食べられる季節のおにぎりがラインナップ。2種類の味を楽しめる竹皮包みのプチ弁当も人気。普段は昼呑み推しの食堂を営んでいて、地元の野菜などをふんだんに使った旬野菜をたっぷり食べれるごはん、スパイスをきかせたごはんを作っており、お惣菜のテイクアウトもできるそう。地元の店をアートブックフェアで知ることができるのも面白い。
そのほかにも、久留米市を拠点に出店形式でスパイスカレーを食べることができる「咖喱屋 納曽利(なそり)」、音楽フェスやイベントなどでもお茶を振る舞うカルチャー系茶屋「茶番」、春の温かい日差しにはもってこい!こだわりのアイスクリームを提供する「SCREAM」などの出店があり、筆者も後ろ髪を存分にひかれながら「Yummy Area」を後にした…!
体力もお腹もチャージできたところで、「余香殿」にまた戻ってみよう!
みさこみさこ/PALESTINE ART BOOK FAIR
個人での出展だった「みさこみさこ」さん。福岡を拠点にグラフィックデザイン、写真、編集、アート制作などの分野で活動している。象徴的な「PALESTINE ART BOOK FAIR」のフラッグは東京アートブックフェアに合わせて会場である東京都現代美術館の前でゲリラ的に行われた際のものを使用しており、数ヶ月経った今でもパレスチナの状況が悪化する一方であることを痛感させる。
ブースでは、パレスチナが侵略を受ける前の美しい風景や生活を現地からレポートしている「聖地パレスチナ一人散歩」(菅梓)や、スイスを拠点に活動するグローバルなフェミニスト・コミュニティ「Futuress」が掲載してきた、“フェミニズム×デザイン”の視点で身近なデザインや社会の当たり前を世界の各地(本作ではトルコ・ノルウェー・アメリカ・インド・パレスチナが舞台となっている)で問い直す5本のエッセイを収録した「Design is for EVERYBODY/デザインはみんなのもの」、かわいいイラストをシルクスクリーンでプリントした“STOP GENOCIDE”のファブリックパッチなどが展開されており、こうしてイベントを楽しめることは当たり前ではないことを再認識させる。出展者のみさこみさこさんが丁寧に本の内容を説明してくれたことも印象的だった。
お次は世界を旅するデザイナーのブースへ
へきち
こちらは畳敷きの「文書館」で出展している、グラフィックデザイナー松田洋和とイラストレーター田渕正敏のユニット。2011年から主にアートブック制作を中心に活動をしている。まず驚いたのは、作品の数の多さだ。これ全部作ってんの?!ってところからはじまる。案内してくれたデザイナーの松田さんはJAGDA(グラフィックデザインの登竜門的なアワード)の新人賞を2025年に受賞する実力派。イラストレーターの田渕さんは鮮やかな青色のみを使用したイラストや絵画作品を継続的に制作しており一目で彼の作品だとわかる。
「World Journey Around The Art Book Fair 1 NY, USA」はデザイナーの田渕さんがニューヨークのアートブックフェア「NYABF」に行った時のレポートを書籍化したもので、世界中にあるアートブックフェアの中から毎年1カ所決めて行き、購入した本の詳細や周辺観光についてまとまっている。さらにイベントに参加している出展者の分析や海外のアートブックフェアに参加するときの意気込みまで…!本に付属しているパスポート風カード、レプリカのチケット、おじさんのポストカードなどなどおまけもかわいい。そのほかにもまるで刺身のパッケージに入っているかのようなイラストZINEや、彼らが毎月開催しているイベントをまとめたレポートブックなど何時間あっても見足りない!
大盛況に終わった「福岡アートブックフェア Pages」。出展しているブースはもちろん、イベントに加えてアーカイブ展など盛りだくさんの内容となっており、遠方から尋ねてくる人(韓国や中国、金沢からきているお客さんもいた!)が多いのも納得だ。本をじっくり眺めたい人、ワークショップやイベントも合わせて楽しみたい人、おいしいご飯が食べたい人(笑)にはもってこいのアートブックフェアであった。来年はさらに面白い出展者に出会えることを願って、このレポートを締めくくりたい。