テレビの世界もアートがいっぱい。

「オールドメディア」なんて言葉が流行語にノミネートした今年。
テレビや新聞、雑誌などかつてのエンタメ、報道メディアはインターネットや配信コンテンツ、SNSなどと比べて“オールド”と目されている。ただ、スマホやネットを用いて個人が人それぞれの趣味を楽しめる昨今において、「みんな」に向けてコンテンツを制作する姿勢は“オールド”ながら唯一無二の魅力でもある。それに、NetflixやAmazon Primeで全世界へ配信される日本のバラエティ番組のコンテンツを見てみると、その制作力だって、バカにできないはずだ。

 で、そんなテレビ番組が“みんな”へ届けるコンテンツのなかでも、報道、バラエティ、お笑い、音楽、など様々なジャンルがあるように、アートな内容を堪能できるものがある。本稿では、そんなアートなテレビ番組をご紹介。テレビ離れが叫ばれ久しいが、今一度リモコン(もしくはTVer)片手に、ぜひ一読を(出演者の名前は敬称略)。

ゴールデン帯人気番組から深夜帯のマニアックな放送まで。

プレバト!!」は2012年からTBS系列で放送(現在、木曜19時〜)されているバラエティ番組。
浜田雅功司会のもと、芸能人による「俳句査定」、「いけばな」、「水彩画」、「消しゴムはんこ」などなど「才能査定ランキング」としてさまざまなジャンルの“才能”の査定を行う。2023年には、「『知的エンターテインメント』ジャンルで、放送の開始から10年以上にわたって多くの人に支持され続けてきた」との理由で、第31回(令和4年度)の橋田賞を受賞している。人気企画は「俳句」。『NHK俳句』などにも出演する俳人、夏井いつき氏による辛口の添削・評価が話題を呼んでいる。藤本敏史、村上健志、森口瑤子、アンミカ、中田喜子、Kis-My-Ft2の横尾渉・千賀健永、千原ジュニア、東国原英夫などなど、豪華出演陣の意外な才能、一面を垣間見れるのが魅力。同企画に出演している梅沢富美男は『句集 一人十色』 (ヨシモトブックス)を出版するなどメディア展開も行う。現在は『プレバト才能アリ展』を全国巡回中。芸能人が創作した才能アリ作品と圧巻のお手本を一挙大公開し、番組ファンはもちろん、作品制作を“自分もやってみよう”と思えるきっかけになるかも。

展覧会公式サイトより引用:https://www.mbs.jp/p-battle/

TOKYO MXで2021年から放送されている「小峠英二のなんて美だ!」。
「初心者でもアートについて簡単に学べる “日本一敷居の低いアートバラエティ番組”」を標榜する同番組はお笑い芸人・小峠英二MCに、軽やかな語り口が魅力の、あらゆる“美”のジャンルへの入り口的存在。その魅力は本格的な出演者と意外な切り口。「日本画」「彫刻」「美大」など美術にまつわるテーマから、「都市デザイン」「日本庭園」「家紋」などややマニアックな話題、「宇宙」「相撲」「数」など、一見すると“美術”にはカウントされない(と勝手に思われている)ような話題まで幅広く丁寧に扱う。『白と黒のとびら』『精霊の箱』の著者で言語学者の川添愛氏、国語辞典編纂者の飯間浩明氏が登場した「ことば」回など本格的な回も。ジェンダー・セクシュアリティ研究を行う岡田玖美子氏&映画監督の今泉力哉氏による「恋愛」回では、王道を逆手に取った演出、観る者の心に響く繊細な描写テクニックを紹介するほか、日本において「恋愛」の価値観がどのような変遷を辿ってきたのかを探る興味深い放送回だった。番組でのメインキャストはアートディレクターの中谷日出と乃木坂46の池田瑛紗。東京藝術大学の美術学部に在学し、今年は個展も開催した池田による勉強熱心なコメントも素敵だ。

番組公式サイトより引用:https://nantebi-da.jp/

長寿番組にもあるんです。

 長年続く名番組として美術の魅力を伝え続けているこちら。
テレビ東京「開運!なんでも鑑定団」はもはや説明不要の伝統的バラエティコンテンツのひとつ。依頼を受けた「お宝」の価値を歴史的・資料的・金銭的に徹底鑑定する番組フォーマットで、1994年から放送中。司会は今田耕司。鑑定士には“骨董通り”の名付け親ともいわれている焼き物・茶道具の専門家中島誠之助、横浜「ブリキのおもちゃ博物館」館長の北原照久、日本画を専門とする安河内眞美など、バラエティに富んだその道のプロたちが登場する。2005年放送の「柿右衛門様式の壺」は5億円(!)、近年では今年放送された「中国 宋時代の版本「韓昌黎集」9冊」が3億円の鑑定額がつくなど話題を呼んだ。実家のお宝や謎の貰い物などなど、身の回りの美術品や貴重品をついついさがしてしまいたくなる。鑑定士たちによる分析、歴史の紹介は、美術と値段の関係について改めて考えるきっかけにもなるはずだ。

番組公式サイトより引用:https://www.tv-tokyo.co.jp/kantei/index.html

日曜美術館」は定番中の定番でありながら、日本のアート系テレビ番組のマスターピース。
NHK Eテレにて“日曜日”に放送中。芸能人ゲストによる美術館めぐりや、今週開催中の注目の展覧会紹介(「アートシーン」)、 こちらの番組、元々は1965年1月1日に特集番組として放送。’76年よりレギュラー放送が開始され、2,500回の放送を超える歴史ある長寿番組。展覧会に呼応した注目の一作、アーティストにフォーカスしたものから、「印象派」「狩野派」など、美術用語を深掘った学びになる回までバラエティに富む。俵万智や千住明、小野正嗣など錚々たる人選が歴代の「キャスター」を務め、現在は守本奈実アナウンサーと、音楽家の坂本美雨によって届けられている。2026年は50周年を迎えるということで、「NHK日曜美術館50年展」が東京藝術大学大学美術館で開催予定だ。セザンヌ、ムンク、葛飾北斎、舟越桂、などなど、同番組を彩ってきた名品の数々が揃う注目の展覧会だ。

展覧会公式サイトより引用:https://nichibiten50.jp/

 NHK Eテレ「ビタゴラスイッチ」「びじゅチューン!」、テレビ東京「新・美の巨人たち」などなど、美術にまつわる番組は各局に用意され、その方向性も多岐にわたる(筆者はかつてNHK総合で放送されていた『迷宮美術館』がお気に入りでした)。偶然面白い番組と出合ったり、好きな番組の時間にチャンネルを合わせて待機したり。YouTubeや配信型サブスクのサジェスト機能とは一味違う、そんなテレビならではの良い意味での“オールド”な味わいは、今こそ必要な栄養素なのかもしれない。仕事や勉強で疲れたら、美術番組でリフレッシュしてみては?

EDIT: Ryoma Uchida

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