近年、海外からの観光客が爆発的に増加している東京。そんな東京は日本屈指のアート・カルチャースポットを有している。最新のアートを紹介するギャラリーや、ヒップな若者の集まるショップやミュージッククラブなどを紹介していこう。
伝統と革新が共存する都市
エリアによって様々な顔をもつ東京。街の特色をうまく反映したスポットに注目が集まる。その代表的なまちが新宿だ。昔ながらの街並みと再開発をとげた“キメラ都市”新宿は現在最もホットなエリアだ。

アートギャラリーを併設したバー「デカメロン」は、アート作品を鑑賞するのと同時に、おいしいお酒も味わう事ができる。アーティストなど、様々な人が訪れると噂の「デカメロン」。2025年3月からは、ディレクターにアーティストである磯村暖が就任したから、今後の展開にもご注目。
「デカメロン」から徒歩圏内のビームスジャパンは、一棟まるごとカルチャーを発信するスポットになっている。

デザインに溢れた和工芸や特産品に加えて、ラジカセを集めたコーナー、アートギャラリーまであり、有名無名関係なくアート作品を展示販売している。
そして、アートギャラリーが集積する施設をアートコンプレックスと呼ぶ。東京には六本木や品川・天王洲エリアなど何ヶ所かギャラリーや美術館が集積する場所があるが、ビジネスマンの集まる街「京橋」にも近年アートスポットの盛り上がりが目覚ましい。
戸田建設の本社ビルでもある「TODA BUILDING」は銀座線・京橋駅やJR東京駅からアクセス可能で、アートとビジネスが交差する拠点として2024年に誕生した。
3階には草間彌生の所属する小山登美夫ギャラリーやKOSAKU KANECHIKAなどのギャラリーが集まり、6階ではアニメ、マンガ、音楽といったポップカルチャーや現代アート、デザインなど多彩な領域の展示を行うCREATIVE MUSEUM TOKYOがオープンしている。
下町文化と現代アートの融合
ビジネス街から、今度は下町に目を向けてみる。前述した京橋駅から電車で30分弱。京島駅、および墨田区周辺でもアートスポットの盛り上がりを見せている。歴史の残る建物と下町コミュニティが織りなす相乗効果で若手アーティストが増えているのだ。
このエリアの特徴は、なんと言っても長屋文化。1923年の関東大震災、さらには1945年の東京大空襲といった災禍を乗り越え、独自の発展を遂げてきた。東京で最も多くの戦前からの長屋が残っていて、今なお残る江戸の風土、人情味の色濃いこの街は、再開発の進む東京の街々からは一線を画している。
向島では、あくまで元ある街に寄り添ったカタチでの芸術活動が盛んなのだ。
街のそうした気運を先導するのが「すみだ向島EXPO」だ。2020年の初開催から、毎年異なるテーマを掲げながら、今年2025年まで途切れることなく、地域に密着したイベントとして継続中。
昨年2024年には、『「花」と「森」』をテーマに、様々な華道家やフローリストが参加した他、画家やアーティストは、古い家屋を年輪を重ねた樹木に見たて、花や森を描くことで、街中に花が咲くような1ヶ月を演出した。
同イベントでの「夕刻のヴァイオリン弾き」では、ヴァイオリニストである小畑亮吾 による生演奏が行われた。三角長屋の2階より、街に18時をしらせる時報としての企画は、地域との繋がりを新たにしている。

このように、最新鋭のスポットから、地域の歴史を活かしたアート運動まで、様々なカルチャーのミックスした混沌を極めるメガシティ東京は、クールでホットな大都市だ。観光の選択肢として、アートに触れてみてはいかがだろうか。
後編では、新宿の最新クラブシーン+@をご紹介。