2025年11月1日からの3日間で開催中の「BENTEN 2 Art Night Kabukicho」。
Chim↑Pom from Smappa!Groupらがキュレーションを務めたオールナイトでのアートイベントは、東洋一の歓楽街と呼ばれる「歌舞伎町」を舞台に、街のあちらこちらに散らばった会場で、同時多発的に“何か”が起きている。
さて、歌舞伎町で一体何が起きているのか。
閉幕まで残り2日の今、初日の現場レポートを速報でお届けします。
「うしろさん、今2階にいます!」
15時ちょうどに現場入りをする。スタッフの方とは開催直前のインタビューに際して既にやり取りをしていたので、挨拶もそこそこに「王城ビル」の奥へと入った。今日はやることがたくさんある。新米ライターとして、できるだけたくさんの素材を集めようと躍起になっていた。
「王城ビル」のB1Fから5Fまでひとまず目を通そうとしていた矢先、スタッフの方から連絡があった。「うしろさん、今2階にいます!」

来場者に向けて一言だけ頂けませんか?
卯城 – 必ずどこかしらで何かが行われているので、タイムテーブルをよく見てもらって、色々楽しんで頂けたらと思います。
僕は今日、2階で「状況」劇場を担当していて、16時頃からは演劇があったり、歌ったり、それからパフォーマーたちがいろんなことをやり始めます。パフォーマティブな空間になっているので、是非見に来てください。
「活弁」は、最新技術をも凌駕する
次に向かったのは5Fの「活弁天映画祭」。
はっきり言って、初めて触れる「活弁」は衝撃だった。
日本の映画の歴史を辿ると、1896年に国内で初めての映画が公開されたそう。映画と言っても当時は「無声映画」で、その内容を解説する専任の解説者として、「活動弁士」が存在していた。
1998年に活弁界初の文部大臣賞を受賞した麻生八咫(あそうやた)さん演じる「浮世絵活弁」、「血煙荒神山」では、抑揚の効いた声に圧倒されたのはもちろんのこと、その間̇は全く初めてのものだった。時折生まれる完全な静寂は会場に緊張をもたらし、観る者を強烈に惹きつける。そして麻生さんの大きな身振り手振りが、臨場感を加速させていく。
3D、4DX、IMAX…と、新時代のテクノロジーがリアルな映像体験を追求する中、同じ場所、同じ空間での“生演奏”にもはや敵うはずがないのかもしれない。

「BENTEN」に参加した率直な感想を聞かせてください。
麻生八咫 – 素晴らしい会場(王城ビル)で感動してますよ。本当に40年、50年前、僕らが新宿で遊んでいたときの、そのまんまが今、よみがえってくる。残っているのが奇跡的。本当になかなかあるものじゃないんですよ。僕たちの世代を20代、30代の頃に若返らせてくれる、そういう現場でした。
無声映画への解説としての「活弁」だと思いますが、時折BGMで音楽、それもロックを差し込んでいたのが驚きでした。
麻生八咫 – 他の活弁士の方に聞かせると怒られちゃうかも。そんなのあるわけねえだろうみたいな。でも、昔じゃなくて、お客さんは今だから。今の人たちにサイレント映画というものを「血湧き肉躍る」みたいな形で提供するには、それもありだろうと。芸能が生き延びていくには、色々な時代を経て、それを乗り越えていかなければいけないから。今のお客さんにいかに喜んでいただけるかという勝負のしかたをしましょう、ということでございます。
観に来ていた若い世代に何か一言頂けませんか?
麻生八咫 – やっぱり生身で、本物をいつも皆さんに提供していきたい。僕もそういうふうに生きてきたし、これからもそう。自然というかね、もっとワイルドに生きていってもいいんじゃないかな。新宿のこういう場所はそれを受け入れてくれる。妙に遠慮して、ある程度の年齢になったら、隅っこでおとなしくしていなければいけないんじゃないかみたいな、そういう忖度は一切せずに、生の人間で僕たちは生きていっていいんだということです。
チャンバラ映画の「活弁」を、英語に乗せて

そして同日18時30分からは、「活弁」が英語で実演された。演じたのは麻生子八咫さんで、麻生八咫さんの実の娘にあたる。「活弁士」としてのデビューは10歳という彼女に、英語での実演での難しさを伺った。
麻生子八咫 – 特に日本のチャンバラ映画で、日本特有の活弁調、活弁のイントネーションを英語に持っていくっていう、これをしないとあまり意味がないかなと思っていて、それが一番苦労しているところですね。
あとは逆に、『チャップリンの冒険』とか、そういう海外の映画に関しては、俳優さんたちはみんなネイティブな英語を喋っていらっしゃる方々なので、演じている彼らのテンションが、日本語よりも英語のままの方が私にとっても伝わりやすい、共感しやすいんです。そういう面では非常に面白いところです。
スペインからの来訪者
そしてこの公演中、たまたま私の真隣にいた「彼」の話を聞くことが出来た。英語の全く話せない私の差し出すAIの翻訳をじっくり読んで答えてくれた「彼」に、この場を借りて御礼申し上げます。

これまでに「活弁」を観たことはありますか?
-こんな経験は今まで一度もありません。声優さんはとても上手だと感じました。彼女は自分の中にある様々な声を使い分けられていて、おばあさんの声も男性の声も出せるんです。彼女が映画に多大な付加価値をもたらしているので、とても興味深かったと思います。それだけでなく、映画に豊かな表現力も与えています。3Dのようにスクリーンで映像を観るだけでなく、語られている内容に感情を動かされる人の姿も見て取れるのです。
それに、これは少し物語風というか、誰かが本を声に出して読んでいるような感じがします。だから私は本当に気に入って、とても興味深いと思いました。
「BENTEN 2 Art Night Kabukicho」を訪れたきっかけを教えてください。
– 今夜ここにいる何人かのアーティストのInstagramをフォローしていて、彼らはとても興味深いと思いました。それでInstagramの投稿を見て、参加しようと決めました。
実際参加してみていかがでしたか?
本当に素晴らしいと思います。これまでの人生で参加した中でもトップクラスのアートイベントです。新宿のあちこちで企画されているという点がとても興味深いですし、新宿や歌舞伎町の歴史にも触れられていて面白いです。さまざまな部屋があり、とても魅力的でした。
いろいろな建物があって、それらは本当に素晴らしいです。私はとても気に入りました。とても良かったです。
日本の芸術の印象を教えてください。
– わあ、難しい質問ですね。私は日本の芸術がとても好きで、独特の違いがあると思います。西洋の芸術とはかなり違うと思います。なんというか、どう説明していいのかわかりません。ただ、日本の芸術にはとても特別なものがあります。どう説明していいかわからないのですが、とても繊細で、微妙なニュアンスを感じます。細部にまで注意が行き届いていて、とても丁寧に作られている印象です。私が思うに、やはり「繊細」という言葉が一番ぴったりくると思います。でも時には、とても野性的でありながら、同時にその野性を受け入れているので、少し刺激的でもあるんです。子供の頃から日本の美術に夢中で、本当に心から感謝しています。
Thank you very much!!! Have a nice day!
彼とは、「王城ビル」の入り口でハンドシェイクして別れた。
唐組「紅テント」スタイルはそのままに、自由な出入りの新鮮さ

時間軸を元に戻そう。
この麻生八咫さん演じる「活弁天映画祭」を観た後すぐに、はじめに卯城さんを見つけた2Fに足を運んだ。始まって10分ほど経過してはいたものの、生きられた新宿「状況」劇場唐組を鑑賞する。
初回の「恋と蒲団」では演劇的な実演が、続く「唄い読む唐十郎の言葉」では、ギターとチェロの音色と、今は亡き唐十郎の美しい言葉が見事に合わさった。

唐組の公演の大きな特徴の一つが、その鑑賞スタイルだ。紅テントと呼ばれるテント劇場の中で、観客は、さながらピクニックや花見のように、所狭しと詰め合って座る。座席の区切りはない。今回の「BENTEN 2 Art Night Kabukicho」ではテントの設置こそないが、敷物に直に座って鑑賞するスタイルが取られた。
「恋と蒲団」と「唄い読む唐十郎の言葉」の両方に出演した役者の福本雄樹さんは、「いつもの座席の感じもありながら、来られた方が自由に出入りする様子が新鮮でした」と語る。
同じく「唄い読む唐十郎の言葉」にて、チェロ奏者として福本さんと共演した佐藤舞希子さんの2人と「王城ビル」入り口付近で遭遇し、話を伺う事が出来た。

福本 – 唐組の公演の時とはお客さんの層も違って、それでいていつもの感じの御座に座っているのがまたちょっと不思議でした。公演が始まって、だんだん人が増えたり減ったりするのが見える点も新鮮でしたね。
初めて観る方に対して、どんなところに注目して貰いたいですか?
福本 – 唐十郎さんの書いている言葉の美しさだったり、少しでも「残る」ような、なんかいいな、と思うような言葉を見つけて貰えると嬉しく思います。ひと言ひと言の台詞の妙だったりとか、言葉がすごく詩的になっていたり、リズム感が五、七五になっていたり。ストーリーが分からなくても、そうした少しの言葉の部分だけでも「なんかいいな」って感じて頂けたら嬉しいです!

チェロと朗読という新たな試みでしたが、演奏されていかがでしたか?
普段から楽器を演奏するにしても、自分の声のようにセリフに乗せて奏でているの感覚なんです。今回の場合も、相手がどう来るのかとか、次のセリフの言葉に寄り添いながら、チェロの音とかリズムを変えたり、音程を変えていったりしました。
セッションに近いイメージですね?
そうですね。今後も、その時にしかないライブ感、その時にしかない音というものを、びしびしと、おもしろい方とやっていきたいと思っています。
続編では、Chim↑Pom from Smappa!Groupのエリイさん、ぼく脳さんらが登場予定です。
続く→
BENTEN 2 Art Night Kabukicho
2025年11月1日〜11月3日に開催される回遊型アートイベント「BENTEN 2 Art Night Kabukicho」。「都市の再野生化」をテーマに掲げ、昨年の「BENTEN 2024」に続き、Chim↑Pom from Smappa!Groupらがキュレーションを務める。
新宿歌舞伎町能舞台、王城ビル、デカメロン、WHITEHOUSE、東京砂漠などを回遊しながら、文化としての「歌舞伎町」を味わうことが出来る。光と影の交錯するカオティックな都市のリアルを、ぜひ現場でご覧ください。
日時:2025年11月1日(土)15:00-5:00/11月2日(日)15:00-5:00/11月3日(月・祝)15:00-23:00
※会場によって開場時間が異なります。公式WEBサイトやSNS等によりご確認ください。
前売りチケット発売中
https://artsticker.app/events/94416 ※10/31 23:59まで
当日券
一般(1DAYチケット)¥3,500 / 前売り券¥3,000
一般(フリーパス)*3日間入場可 ¥7,000 / 前売り券¥6,000
18歳未満*¥2,500
中学生以下無料
※24:00以降は 2,000円(1ドリンク付き)で入場可能。
※一部プログラムは別途料金の支払いが必要です。
HP : https://www.benten-kabukicho.com/
Instagram : https://www.instagram.com/benten2025_kabukicho