前編に引き続き、Cream Ecoes(クリームエコーズ)のインタビューをお届けする。創作から離れた時間の過ごし方や、最近ハマっていることなどを通して、Cream Ecoesの価値観や人間的な魅力に迫っていく。
ルーツは冷蔵庫?Cream Ecoesの素顔
今更ですが、Cream Ecoesというアーティスト名にはどんな思いが込められているんですか?
Cream Ecoes – よく聞かれる質問なのですが、全く意味はなくて(笑)。アーティストとして活動しようと思っていた時に、本名は嫌だなと思っていて。自宅の冷蔵庫に貼ってあったステッカーを見ていたら「Cream」と「Ecoes」が目に入ってきたのでこの名前にしました。綴りをよく間違えられるのですが、それからCream Ecoesと名乗っています。
江戸川コナンと同じだ…!でもなんとなくCream Ecoesさんの雰囲気にもあっているような印象を受けます。
C – ありがとうございます。でも何度も改名を考えているんですよ。ただタイミングを失っていて…。ずっと構想しています。もっとアーティストっぽい名前とかに憧れます。
普段の家での過ごし方を教えてください。
C – 制作しながら過ごしていますが、息抜きでタバコを吸ったりカフェオレを作ったりしています。今日はインタビューなのでブラックコーヒーにしてみました。カッコつけたいなと思って(笑)。パートナーと一緒に住んでいるのですが、交代制で自炊もしています。高校生時代に居酒屋でアルバイトをしていて、その店で教えてもらっただし巻き卵が得意料理です。
思い出の味はありますか?
C – 昔、僕の誕生日にパートナーと群馬県の小さな温泉街に行ったんです。そこで入ったうなぎ屋さんのうなぎの蒲焼がめちゃくちゃおいしくて。それは忘れられないです。
個展などでいろいろな場所に出向くことも多いと思うのですが、好きだった場所はありますか?
C – 栃木県の黒磯と静岡県が好きでした。街自体の雰囲気も好きなのですが、それらの場所で開催した展示がすごく楽しくて。黒磯は街がコンパクトで、その中にショップとかが集まっている感じが好きでした。六喩というレコードショップでの展示だったので、レコードサイズの作品を展示しました。静岡県では、展示が終わった後に遅くまで居酒屋で友達と飲んでいました。居酒屋の雰囲気がすごくよくて、ご飯も美味しかったのでお気に入りです。
勘当覚悟で買ったベースと都市伝説
ずっと大切にしている「宝物」はありますか?
C – 学生時代から使っているベースだと思います。初めての大きな買い物ってやつで。ちょっといいベースをローンを組んで購入しました。親からはローンなんて組むなら縁切るぞ!と言われました(笑)。もう弾くことはほとんどないので、お金に困った時に何度も売ろうとしたこともありました。でも手放さずにいて良かったと思っています。
バンド時代はどのような活動をしていたんですか?
C – 今までに二つバンドを組んできたのですが、シティポップや歌謡曲、R&Bとソウルなどを演奏してきました。割といろんなジャンルを通ってきました。「ディアンジェロ」や「エリカバトゥ」などの90sのR&Bをよく聞くのですが、やっぱりベースの音に注目してしまいます。
最近ハマっていることを教えてください。
C – 展示を見てくれた友人からオススメされた手塚治虫の「火の鳥」を読んでいます。今まであまり漫画は読んでこなかったのですが、めちゃくちゃ面白いです。あとはABEMA TVに登録したのですが、「ナオキマンの都市伝説ワイドショー」という番組にハマっています。神社のすごい人・スパイ・芸能界の闇・世紀末…面白半分ですが、見出したら止まらないんですよね(笑)。

先日の参議院選挙や昨今の社会問題を通してアーティストたちが連帯して声をあげることも多くなってきました。アーティストとして社会とどのように関係していきたいと考えていますか?
C – スローガンのデザインをされているデザイナーさんなど、活動自体は好きなのですが自分自身はまだそういったことに参加したことはありません。深く考えないようにしていて、距離感をどうとるのかが難しいです。ただ漠然とした将来への不安はあります。2,30年後にどうなっているんだろう、みたいな。大学卒業のタイミングで就職活動もしていたのですが、どうしても違うな、と感じて内定をいただいた会社をお断りしました。今でも申し訳ないと思っていますが、そのおかげでより一層気合いが入ったような感覚になりました。
ソフトひとつと始まったアーティストの道
これから挑戦してみたいことを教えてください。
C – 立体作品やアニメーションにトライしてみたいです。あとは今まで作品に人物や動物を登場させたことが無くて。新しいモチーフにも興味があります。
これからアーティストを目指す方々に一言お願いします。
C – とりあえず何かやってみよう、と伝えたいです。僕もたまたまダウンロードしていたIllustratorのソフトからアーティスト活動が始まりました。でも実際やってみないとわかんないことがすごいあって。大変なこともありますが、楽しいこともたくさんあります。一人で向き合う時間はちょっと寂しいけど(笑)。
終始和やかなムードで終わったCream Ecoesのインタビュー。目で見たものが彼のフィルターを通してあらゆる物質に変換される。その心地よい違和感は、混沌とした世の中に残されたユートピアの入り口なのかもしれない。
Cream Ecoesは現在、台湾・soil taipeiにて個展を開催中。
その後は静岡でも展示を予定しており、国内外で作品世界を体感できる機会が続きます。
ぜひ足を運んで、彼の新たな挑戦をチェックしてみてください。
Cream Ecoes Touring Solo Exhibition “In my head? (or)In your head?” in Taiwan 2025
会期:8.15(金)- 9.14(日)
時間:12:00 – 19:00
会場:SOIL TAIPEI (No. 94號, Lane 74, Section 3, Bade Rd, Songshan District, Taipei City, 台湾 )
後援:Whimsy Work Gallery
Cream Ecoes Poster Solo Exhibition “(P)” in Shizuoka 2025
会期:9.6(土)- 9.28(日)
時間: 月~木 8:00-21:00 / 金~土 8:00-23:00 / 日 8:00-18:00
会場::PART COFFEE ROASTER (静岡市葵区御幸町20番地 M20ビル cosa1F)