今週読みたいアート。アートな雑誌 Vol.1

美術館に行き、「なんでこれが良い(とされている)のだろう」とか、「これにどんな価値があるんだろう」とか、アートについて「よく分からない」なんて気持ちが芽生えたまま帰宅する……なんてことがあるかもしれない。

よく分からない作品にウン十億円という値段がついたかと思えば、街中の無料で入れるギャラリーで素敵な作品と出会ったり、はたまた、作品の枠組みを超えた「プロジェクト」なんかが作品と呼ばれていたり。歴史や理論が背後にあるからこそ、様々なアーティストや作品があるわけで、感覚だけで理解できるのがアートの世界ではないし、何かの手がかりがないと中々理解できないことも多い。というわけでこの連載では毎週「アート」にまつわる書籍をいくつかご紹介。

本格的な暑さが到来し始めた今日この頃。休日は家で涼みながら、優雅な1日を。というか、あまりの酷暑に家にいるしかない。そんなときは雑誌をパラパラっとめくってみて、まだ見ぬ世界や華麗なクリエイティブにワクワクしてみるのはどうだろう。「アート」に触れられる、まだまだ面白い雑誌が世界にはいっぱいあるのだ。

◯『Voice of photography』Voice of photography・編(影言社)

2011年に創刊、台湾発の写真にフォーカスしたアートマガジン。「暴力」「科学資本主義」「AI」など、ニッチでハードコアな話題からトレンドの事象まで、毎号異なるテーマを展開。国内外の写真家、アーティスト、映像作家を軸に、対談やインタビュー、創作にまつわる裏事情や文化的背景、歴史などアカデミックな内容も。写真史の論考、コラム、レビューなど、写真の批評に関する側面も強い。最新号は「宣教師」の図像イメージを探った第36号。台湾を起点にアジアの写真文化を俯瞰する壮大なプロジェクトだ。

◯『So young magazine』So young magazine・編(SO YOUNG)

こちらの雑誌がフォーカスするのは音楽。ロンドン発のDIY音楽マガジンだ。音楽といっても注目するのは新進気鋭のミュージシャン&イラストレーター。フォンテインズD.C.やウェット・レッグなど魅力あふれるルーキーたちのイラストを交え、今のインディー・シーンのリアルな姿を紹介し、世界から注目を集めている。ここ日本でも2022年に特別号が刊行され、昨年末には第2号も刊行。現在もライブやパーティーを主催するなど、その活動の幅を広げながら精力的に活動中。最新号はカーディナルズ、スクワッドらを特集した第56号。是非ともチェックしてみて欲しい!

EDIT: Ryoma Uchida

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