眠らない街・新宿は、ミュージックシーンも盛んだ。今回はその代表的なスポットをご紹介。イギリスの音楽メディア「DJ Mag」が主催し、世界中のクラブ愛好者が選ぶ世界最高のナイトクラブランキングであるDJ MAG TOP 100 CLUBS。
そんな映えあるランキングにも選ばれたのが「WARP SHINJUKU」だ。
「ナイトクラブを、もっと身近に」をミッションに掲げ、新宿から新しい文化を発信していて、なんと営業は21時からという本気ぶり。 コンセプトは「100年後の東京」。大型のスペースシップで宇宙空間を移動するかのような空間デザインや、 レトロ感じる日本の風情の混在した未来の世界観が魅力。「西洋と東洋」「未来と過去」などが混じり合い昇華したスペシャルな空間と体験を楽しむことが出来る。
歌舞伎町のど真ん中に位置する「ZEROTOKYO」は、3フロア5エリアで構成される国内最大級のナイトエンターテインメント施設で、国内のみならず海外アーティストの招聘も積極的に行っている。宇多田ヒカルとのコラボレーションでも知られる世界的なアーティストのFloating Pointも、ここZEROTOKYOで来日公演を行った。
この他にもマニアックな玄人向けの「落合soup」や、若手DJたちも自主イベントなどを開催しやすい「SPACE」など、新宿では、アンダーグラウンドなカルチャーが日々沸き起こっている最前線を体感できるだろう。
半世紀前から新宿に響く音色
ところが、新宿の魅力はこんなものじゃない。
最前線のクラブシーンを十分楽しんだから、今日は少し静かな夜を過ごしたい、でも音楽にも触れたい、そんな時に打ってつけなのが、「Juzz Cafe Bar DUG」だ。
ここは間違いなくモノホン、カルチャーのぎっしり詰まった本場で、まず、店のロゴはイラストレーターの和田誠が手掛けている。
さらには寺山修司に三島、村上春樹といった名だたる文豪も通ったと言われるこの店は、1967年の創業から現在まで続く老舗で、その間、店名を変えたり、何度かの移転を繰り返しながらも、新宿という街を盛り上げてきた。
創設者の中平穂積さんは名を馳せたJAZZ写真家。これまで撮影してきたジャズミュージシャンを数名挙げれば、これ以上の説明はいらないだろう。
アート・ブレイキー
ジョン・コルトレーン
マイルス・デイビス
ビル・エヴァンス
セロニアス・モンク
渡辺貞夫
“伝説”である彼らを撮影してきた中平さんもまた、作品がレコードやCDに使われることも多く、NYのこれまた伝説的なジャズバー「ヴィレッジバンガード」に、日本人作家として唯一作品が収容されている。
非常に残念なことに、中平さんは昨年2024年12月1日に亡くなってしまったが、「Juzz Cafe Bar DUG」は、これからも新宿において、カルチャーを牽引していくだろう。
これまでの前編では、東京のアートスポットを、そして後編では新宿のミュージックシーンを紹介してきた。有名無名、新旧関係なく入り混じったクールでホットな大都市東京。
この街は、はっきり言って楽し過ぎる。
登場したスポットを、旅行で訪れるランドマークとしては勿論、東京が身近な人も、是非足を運んでみてほしい。そこには新しい文化の扉が開かれている。行ったことがある人は、その歴史的背景やストーリーに耳を傾けてみると、きっと、もっと楽しいはず。
いつか行こういつか行こうと思って先延ばしにしていた場所にも、これを機会に行ってみよう。東京には行くべき場所が多いから、足踏みなんかしていられない!